お世話になっております。
佐山先生とはご存知、初代タイガーマスクにて現代のMMAの礎を築いた佐山 聡さんの事です。
空手道MAC 東京・江戸川道場のサイトをご覧になって頂いている方は、ご周知の事と思いますが、私が空手をしているのも、初代タイガーマスク(佐山先生)の影響を大きく受けたからです。
そして佐山先生の弟子の一人で、現在、USA修斗協会・IUMA日本振藩國術館代表の中村頼永先生は、長らく空手道MAC事務局主催大会の特別相談役の役員をして下さっております。
実は私はなんと小学校6年生の時に、この中村頼永先生を見ていた事に後に気が付く事になります…
プロレスが大好きだった栗原少年は週間プロレスの記事で、初代タイガーマスクが本を出す事を知り、しかもその本は本人直筆のサイン入りである事から、迷わずに通販でその本を購入しました!
その本こそ、『佐山 聡のシューティング入門』(1986年出版)でした!
今でこそMMAは世界の多くで技術が研究され格闘技の確固たる地位を築いておりますが、当時は佐山先生が弟子達と試行錯誤しながら研究し1冊の本にまとめ上げた革命的な総合格闘技(シューティング)の技術書でした!
小学校6年生の栗原少年はそんな事とは知らずに、初代タイガーマスクの中の人のサインが貰える一心で購入したのです…。
しかし、後にUWFブームが到来すると、僕たちのプロレスごっこもUWFスタイルへと変貌し、結果、この本が大変に役立つ事となりました!
そんなこの本に出てくる佐山先生の技を受ける数名のモデルの中に、若き日の中村頼永先生がいたのでした。
モデルの中には後にプロレスラーとして活躍された北原選手やグラップラー刃牙のモデルになった『闘うおもちゃ箱』の平 直行選手もいました。
中村頼永先生は空手道MACが専門学校のサークルだった時代のメンバーであり、渡辺代表の後輩になります。
中村頼永先生はその後、渡米しロサンゼルスを拠点に修斗や截拳道の普及活動を行い日本とアメリカのパイプ役となって活動しておられます。
そのようなご縁で、今から25年前に渡辺代表の企画で空手道MACロサンゼルスツアーに参加した際には、現地のコーディネーターを務めて下さり、ブルースリーの映画『死亡遊戯』でお馴染みのダン・イノサント先生(フィリピンカリの達人)のイノサントアカデミーで稽古をさせて頂き、大変お世話になった過去があります。
前置きが大変長くなりましたが、本題はここからです!
先日、行われた空手道MAC事務局主催の第22回 ジャパンカップジュニア空手道選手権大会のパンフレットに記載されている、中村頼永先生の役員挨拶の文書を読んで頂きたいのです。
共感したからに他なりません。
ここからは私の勝手な推測ですが…
中村頼永先生の道場論は佐山先生の教えから来ているのではないかな…と。
佐山先生は今も昔も武道精神を非常に大切にしている方だからです…。
最強を目指して上京し佐山先生を師と仰ぎ教えを頂いた若き日の中村頼永先生の心の中には原点の教えが今もあると思ったからです!
では、中村頼永先生の大会パンフレットの挨拶文を以下に添付致します。
ジャパンカップ大会特別相談役
USA修斗協会・日本振藩國術館代表
中村頼永
「第22回ジャパンカップ・ジュニア空手道選手権大会」の盛大なる開催を心よりお慶び申し上げます。
私は空手道を修行する場、空手の「道場」が大好きです。
私が存在する総合格闘技(通称:MMA/Mixed Martial Arts)の世界は、「道場」も存在しますが、それとは異なる集合体の「練習チーム」や「ジム」というものが多いのです。MMAの試合でチャンピオンを目指す選手達が個人的繋がりで集まって出来ている集合体の「練習チーム」は、組織化されているものがあっても、それはボクシングジム的なものが多く、師範や先生と呼ばれる人達不在の、選手だけ、或いは選手とコーチという関係性のみで成り立っていたりします。つまりそれは「競技で強くなるためだけの集合体」です。
そういう集合体では、選手は集まった選手同士でスパーリングしたり、個人的に繋がりのある他のチームやジムなどの集合体へ出向き交流スパーリングする、或いは教習DVDやYouTubeの動画などを見て独学で強さを目指す、そんなシーンで出来上がっています。そういう集合体同士では組織的な壁が無かったりするので、選手は個人的に他所との交流やクロストレーニングが当たり前という環境になっており、それは強さを目指す上では一面、素晴らしいことではありますが、「道場」で師範や先生から学ぶその組織の理念や精神性、系統・血統に関する先人への敬意というものを学ぶ機会が欠如するという欠点があるように感じています。
MMAやボクシングを始めとする格闘技は読んで字の如く「闘って格付けをする技」の世界でチャンピオンが居て、その下にランキング順位という格付けがあり、チャンピオンは称賛を受け、ランキングが上がれば称えられる世界です。そこは「強さ」至上主義であり、武道の世界とは似て異なる世界です。
私達は「強さ」を目指しますが、果たして試合の「強さ」だけを求めて良いのか?
それは住む世界や年齢により答えは異なるかも知れませんが、私は「道場」で師範(先生)と弟子との関係性で稽古伝承されるその組織の理念や精神性、系統・血統に関する先人への敬意というもの、そしてそれと表裏一体となった上で学ぶ戦う技術で、多角的な強さを目指す方向性が好きです。
本大会に出場されている選手の皆様は普段そういう素晴らしい「道場」という環境で学び修行されていると思いますが、その環境の素晴らしさを空手界に身を置いていない私の客観的な言葉から改めて感じて貰えましたら幸いです。
最後に選手のご健闘と、各流会派の皆様方のご隆盛をお祈りし、この場を借りまして挨拶とさせて頂きます。
押忍
今の私の空手は、渡辺代表や石島副代表をはじめ空手道MACの多くの関係者のお陰である事を感謝すると共に、17歳の生意気な田舎の若造に空手の哲学と技術を教えてくれた茨城の吉原師匠へは最大級の感謝と尊敬の念は消える事はないでしょう!
吉原師匠の弟子で、いまだにMACの空手着に袖を通しているのは、栗原と小林と遠くイランのカンビズしかいませんが、空手着を着ていない、かつての弟子達の心の奥底にも空手道MAC茨城支部の魂があるでしょう!
若き日の中村頼永先生が佐山先生を師と仰ぎ汗を流していたように…
我々の心にも吉原師匠のもと、汗を流してきた歴史があるのだから…
押忍!
空手道MAC 東京・江戸川道場
代表 栗原啓二